「産後骨盤が開く」の勘違い

産後骨盤が開くの定義

産後ママの骨盤解説で必ず出てくる言葉があります。

  1. 産後は骨盤が開きっぱなし

産後ママのほぼ全員がこれを「なるほど!」と受け止めますが、骨盤矯正を長年してきた専門家は違います。

千里丘の俊カイロ

え?それおかしくない?

妊娠~出産を調べれば調べる程に「やっぱりおかしい」となるのです。

何故なら。

  1. 妊娠中に骨盤は開き続け
    出産で閉じる

これが身体に起こるメカニズムだからです。

じゃあ、どうして「産後は骨盤が開きっぱなし」と主張する院が多いのか。

それを冷静に考えてみましょう。

理由を考えてみた

考えてみると色々と要因が見つかります。

  1. 恥骨結合離開を「骨盤が開く」とする
  2. 骨盤下口部を基準にする
  3. セミナー資料を流用している
  4. 妊娠~出産の勉強不足
  5. 骨盤の勉強不足

恐らくはこの5つの理由で9割以上の「産後骨盤は開きっぱなし」の状況が説明できると思います。

1.恥骨結合離開を「骨盤が開く」とする

分娩時、産道を広くする為に子宮頸部、会陰、膣に合わせて恥骨結合も開きますが、それを「骨盤が開く」と定義する院も多い様です。

それは「骨盤が開く」のではなく「恥骨結合が開く」のあり、骨盤を含めた全体の動きとしてはAS変位、つまり「骨盤は閉じる」方向になります。

2.骨盤下口部を基準にする

骨盤には「上口」と「下口」があります。妊娠中は「上口」が開いており、分娩時には赤ちゃんの通過に合わせて「上口」が閉じ「下口」が広がります。

この「下口」の開きを骨盤の開きとしている可能性があります。

骨盤「下口」が開く際、骨盤全体はAS変位、つまりは「骨盤が閉じる」方向になります。

3.セミナー資料を流用している

「産後の骨盤矯正」も「骨盤矯正」も元々は「整骨院・鍼灸院」が自費診療に参入する為に開発されたビジネスモデルです。

その為「開業セミナー」「自費診療セミナー」の王道として今なお沢山のセミナーが開かれています。

そこで使用される資料は「院内掲示用」「ホームページ用」と既にパッケージ化されており、それをそのまま「印刷」「はめ込む」院が続出しているのです。

千里丘の俊カイロ

楽だから

その結果「産後の骨盤は開くんです」を含め「横並びの同じ説明」が浸透したと考えられます。リラキシンとか。

余談ですがカイロプラクティックの「トムソンベッド」も骨盤セミナーの一環で全国の整骨院、鍼灸院に売られまくったという歴史があります。

グイーンと上がるやつ

なので、このベッドを導入している整骨院/鍼灸院さんは産後骨盤セミナーの卒業生という可能性が高い。

4.妊娠~出産の勉強不足

単純に妊娠~出産に至る生理現象を追い掛ければ「骨盤が開き~閉じる」の一連の流れがすぐにわかるはずです。

しっかりと掘り下げていれば身体で起こる矛盾した状況にも気付きます。

千里丘の俊カイロ

あれ?開きつつ閉じてるじゃん

開こうとする一方で閉じようとする。この矛盾した状況がママの負担になっているのだと。

そして、人間の身体は常に「矛盾した要求と指示」が矢継ぎ早に出ているんだと気付くはずなのです。

5.骨盤の勉強不足

骨盤の基本的な学習をしていれば「妊娠~出産」に至る骨盤の変化から「分娩時って閉じないか?」と気付けます。

AS腸骨とPI腸骨を学べばそれだけでわかるはずなのです。産道を広げる為に身体には何が起こるのかという事に。

言葉が曖昧になっている

「骨盤の開き」という言葉の定義がバラバラになっている。それが一番の問題だと思います。

  1. 仙腸関節ベース(元々)
  2. 恥骨結合ベース(産後)
  3. 骨盤下口ベース(産後)

ややこしいのは、産後骨盤矯正の「骨盤の開き」論でも「恥骨結合」「骨盤下口」ベースと基準点が異なる理論があるという事です。

骨盤を学び、妊娠~出産を掘り下げれば自然と「仙腸関節ベース」での考え方に辿り着くはずです。何故なら、それが一番論理的だからです。

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